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硫黄島からの手紙
硫黄島からの手紙「硫黄島2部作」の日本サイド。
鳴り物入りでの公開でしたが、もろもろあって初日ではなく2日目に観に行ってきました。
事前にTVで特集とか関連ドラマとかやってましたが、いずれも見ることなく、またも予備知識無しでの鑑賞です。
70点。(脚本:3/演出:4/映像:4/音楽:3/配役:5)

見終わっての感想は「暗い・重い・悲惨」
当たり前ですが、めちゃめちゃ悲惨でした。
「父親達〜」の方は、硫黄島の戦いは半ば過去のシーンとして描かれてたので、一息付ける場面があったのですが、「硫黄島〜」はなにしろその戦いがメイン。終始ドンパチでとにかくくたびれます。
おまけに、あの「大日本帝国軍」だったわけですから、そこら中に「武士道」とか「天王陛下の為に」とか、死に様をますます悲惨にさせる要素がてんこもり。
「ワールドトレードセンター」ほどではないですが、陰鬱な気分になりました。

主人公は渡辺謙演じる栗林中将ってことになってますが、おおむね二宮くん演じる一兵卒の視点で描かれます。
塹壕掘りに愚痴こぼしたり、憲兵出身の兵士に八つ当たりしたり、自決を受け入れられず逃げ出したり……と、全編に純朴なキャラクターが出ててなかなか良かったと思います。(ま、リアリティを追求するなら、もっと丸っこくて野暮ったい青年のが相応しかったでしょうけど)
渡辺謙の方も、「絵が好きな優しいお父さん」という栗林の人物像をうまく演じていて、なかなか本人に近かったんじゃないでしょうか?
中村獅童の役も、最後のやむにやまれぬ葛藤が、いい味出てて良かったです。

ただ、役者陣の好演の一方で、ストーリー的にはビミョーでしたね。

そりゃ戦争なんですし、事実2万人も戦死してるんですから、死ぬシーンがいっぱいなのはわかります。自決者もたくさんいたことでしょう。
ただ……あそこまで何の葛藤もなくどんどん自決したり、闇雲に突進する人ばっかだったんでしょうかね??
なんか、所詮は日本人が作ったわけではない=「日本軍人とはこういうもの」ってのイメージ(思いこみ)だけで作ってるように見えましたよ。
もっと言うと、「このように日本軍人はオバカ一直線だったんだよ?」て、若い世代に刷り込んでるみたいで、なんか嫌でした。

「アメリカ軍が数日で落とせると思っていた島を30日間以上守り抜いた英雄」
なんて触れ込みでしたが、その「いかに守り抜いたか」というシーンはなく、単に「地の底をはいずり回ってしぶとく逃げ残った」としか思えない描かれよう……。
結局、「孤島であるが故勝利したが、戦略的には劣っていた」という風には絶対描きたくないんだなぁ……って、ちょっと虚しくもなりました。

ちなみに、タイトルにもなってる「手紙」ですが、「彼らからのメッセージ」=映画そのものを指してるのかと思いきや、最後の最後にとってつけたように手紙がわさわさ出てきたので、かなり興ざめでした。
思えば冒頭で、
 調査隊員A「何かあるぞ!」
 調査隊員B「なんだ!? やったぞ、大発見だ」
みたいな、現代にて埋められた手紙を掘り出すシーンがあった時点で、嫌な予感はしてたのですけど。
あと、やはり最後。
二宮君が海岸で朝日(夕日?)を目にするシーンも、ちょっと……。
そんな「そして僕は生き残った」みたく、パニック映画のラストシーンみたいな絵はいりませんから?!


観てる最中は、次から次へと飛び出す悲惨さに胸焼けしそうでしたけど、見終わってみると大した感動もなく、ただ虚しさだけが残る……そんな映画でした。
「戦争は虚しい」ってことで、描き方としては間違っちゃいないんでしょうけど、でも「この映画で得たことは?」て訊かれたら、ちょっと返答に困りますね。
結局、「戦争は悲惨」てなっちゃう、それだけの内容だったとも言えます。

そんなこともあって、観て良かったとは思いますが、2度は観たくない作品です。
:: 映画(2008年まで) | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 二瀬古 
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