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父親たちの星条旗
父親たちの星条旗硫黄島2部作のアメリカサイド。
これの前に観たのは「WTC」で、それのせいで戦争映画に食傷気味だったですが、映画行くという弟について(ついで)に。でも、結局お互い違うモノを観ていたり。

公開2日目でしたが、いつものレイトショーは空き空き。300人収まるシアターに30人くらいでした。
しかし、ガラガラなのに私の座った列は混んでいて、席の両隣(それぞれ1席づつ空き)に座ったカップルが、どっちもポップコーンをバリボリ食ってたので、初めは集中出来ませんでした。右からはキャラメル臭、左からはチーズ臭……。(とほほ)
75点。(脚本:3/演出:3/映像:4/音楽:3/配役:4)

見終わっての感想は、「『硫黄島からの手紙』も見よう」です。
もともと2部構成だからってのもありますが、単なるアメリカサイド・日本サイドって描かれ方ではなく、直接シンクロしてると思われるシーンがいくつかあったのと、やっぱなかなか良い映画でしたよ。
「戦争に英雄無し」とか、「今更言われなくてもわかっちょる」ってテーマではありますが、実際目に見える形にした映像作品てそんなには無い――「戦争の悲惨さ」や「無差別な死・悲しみ」を表現したものは山ほどありますが――ので、こうして定期的に形にするのはそれだけで意味があるんじゃないでしょうか。
あと、メイン3人の配役がほんとにお見事で、本人クリソツ。(「WTC」以上)
それを確認するだけでも一見の価値があります。
結局はドキュメンタリー重視の戦争映画なので、山もなければ谷もなく、あっと驚く急展開もなく、高揚するとか楽しくなるシーンも全くなく、感動要素も薄いですが、見ておいて損はないと思います。
前半ちょっと分かりにくかったので、パンフとかで整理してから観ることをオススメします。

太平洋戦争・硫黄島に関することってだけで、「悲惨」「人死」「血」……このあたりは容易に想像出来ますが、想像通り前半は銃弾砲弾流弾の雨あられでした。
これまた「WTC」のトラウマ(?)か、着弾の音にちょっと鬱な気分に。
展開は、史実を元にしてるだけあって、「WTC」同様に淡々としたものでしたが、こっちの方が「歴史」というクッションがある分、幾分フィクション的な見方も出来て気が楽でした。

ただ、その硫黄島での戦闘(開戦)場面にいたるまでの繋がりが分かり辛くて、始めの方はひたすら「?」。
老人が過去を語るシーンから入ってたんですが、「彼が主人公の現在の姿?」とか想像する間もなく過去の派兵シーンになり、人物関係とか時間経過とかの説明がないまま、硫黄島上陸→日本兵強襲→泥沼戦闘で、わけがわからず。
ポップコーンに邪魔されてたのもあって、ほとんどだらーっと観てました。
むしろ、カメラワークが良すぎて(兵士視点に合わせ過ぎて)、酔い気味だったり。

その戦闘シーンは……う〜ん……。
当時を再現してるんでしょうけど、悲惨さや無力さよりも、うるささのが大でした。
やたらエコーが掛かってるので、どんな音も大迫力でいかにも映画的。
それが映像とか状況とかを全部ぼやかしてるように感じました。
この辺は映画館の問題なんでしょうけど。
でも、この硫黄島の闘いで、アメリカ側は約7000人、日本側は約20000人の戦死者を出してるんですが、派手な映像だったわりに、「そんなに死んだかな?」て感じもします。特に日本側は、あれだけ見てると初めから30人程しかいなかった印象です。
そんぐらいの状況演出にしかならないなら、あんなに残酷度をUPさせることもなかったんじゃないかなぁ、と。
まぁ、十分に戦争の恐ろしさを見せつける映像ではありましたけどね。

映画の筋が分かってきたのは約半分終わってから。
硫黄島に星条旗を立てた写真が「勝利」のシンボルとなって、その写真に写ってた6人が「英雄」として祭り上げられます。このうち3人は戦死してるので、メインは帰還した残りの3人。内、衛生兵のドクことジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)が主人公……て、1hにしてやっと分かりました。
それまで彼が主人公って決定的なシーンが無かったので、群像劇というか記録映画的に雰囲気で観てたんですよね。前半がぼけた印象なのはそのせいかもです。

視点がハッキリしてからは、雷鳴や花火で戦場をフラッシュバックさせて怯えるシーンや、英雄として持ち上げられ振り回される様子に感情移入できて、なかなか良かったです。
一兵士の心情なんて国家の威信に比べりゃへのカッパ……て、今も根本は変わらないでしょうけど、それでも表面上のケアですら考えられない時代。「分かる」なんて言えたもんじゃないですが、辛さを想像するとけっこうココロ打たれます。
しかし、「事実は映画より奇」というのか、「事実なればこそ」というのか……英雄として使い古された後の扱いがあんまりなのに唖然。(のたれ死にとか)
機能しなくなったらポイって、ホント、イデオロギーの駒ですね。
劇中では特別描かれませんでしたが、ドクは足を負傷しての帰還だったのに、手術もしていまま挨拶回りや遊説のお供、式典なんかに参加させられ、ちゃんとした治療を受けたのは終戦後だった……ってのには、まさに「口あんぐり」でした。
(でもエンドロールの実写真には松葉杖姿が映ってるのに、映画の中で松葉杖姿にしなかったのは何でなんだろう?)

そんなんで、後半は楽しめたというか集中して鑑賞出来ましたが、全体的には「?」が多かったです。
やっぱ、過去と現在のシーンが入り乱れだったのと、過去の中でも派兵前・戦闘中・帰還直後・終戦後とかなりポンポン飛んだり戻ったりしてたので、話の流れが分かりにくかったのが原因かと。
さっきまでドンパチやってたのに、気が付けば大統領の前で整列させられてたり。
戦場から帰還してPTSDになってる人間の心情に合わせたってすればそうなのかもしれないですが、ちょっとつぎはぎな印象でした。
何回か観て、じっくり理解するタイプの映画です。
て、そんなに何回もじっくりは観たくない映画でも有りますけどね……。


ところで、ラストシーンで現在の硫黄島がチラリと出ますが、そこに映る記念碑は今でもアメリカでは戦争の道具として機能してるんでしょうかね??
日本ではそんなものあることすら知らない人がほぼ全部ってほど印象無いと思うので、「じゃあアメリカではどうなんだ」って、単純ですが疑問に思いました。
:: 映画(2008年まで) | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 二瀬古 
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